“築35年の我が家”を建て替えたら2,780万円。でも、手放せばもっと高くついていた――家族の選択が生んだ明暗#column

この記事を読めば分かること

  • 家の建て替えには、具体的にどんなお金がかかるのか
  • なぜ“平均2,500万円以上”かかるのか、その内訳と理由
  • 見落としがちな費用と、金額が上下する要因とは
  • お金をかけすぎないための工夫や見積もりのコツ

はじめに

「この床、またギシギシ鳴ってるよ」
冬の朝、ストーブに火を入れようとしたとき、息子がそう言った。築35年、木造二階建ての我が家は、あちこちが疲れ切っていた。外壁は色あせ、天井のクロスも少しずつ剥がれてきている。

最初はリフォームで済ませようと思った。でも、壁の中の断熱材はカビだらけ。シロアリの形跡まで見つかり、「これはもう、建て替えたほうが早い」ということに。

でもそこで待っていたのは――**“予想を超える出費の壁”**でした。

この記事では、あなたがこれから建て替えを考えるときに「どれくらいかかるのか?」「どこでお金が増えるのか?」「どうしたら抑えられるのか?」を、リアルな家族の物語と一緒にお伝えします。

建て替えにかかる「本当の費用」とは?

「家を建てるだけなら、ハウスメーカーのチラシにある通り、1,800万円くらいでいけるんじゃない?」
…そう思っていたら大間違いです。

建て替えには、建物そのものだけでなく、次のような費用も含まれます。

  • 古い家を壊すお金(解体費)
  • 地盤を調べたり、強くしたりするお金(地盤改良費)
  • 新しい家を建てる設計や施工の費用
  • 仮住まいと引っ越しの費用
  • 登記や測量など、法律上の手続きにかかる費用
  • 家具の入れ替えや電気・水道の工事費

私たちの家の場合、建築費が1,980万円
でも、解体・仮住まい・登記・地盤改良などで約800万円かかり、最終的には合計2,780万円になりました。

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なぜこんなに高くなるの?費用が上下する7つの理由

あなたの建て替え費用が高くなるか安くなるかは、実は次の7つでほぼ決まります。

  1. 家の構造と素材
     木造の家は壊しやすく安いけれど、鉄筋コンクリート造は3倍近くの解体費がかかります。
  2. 土地の状態(地盤)
     地盤が柔らかい地域だと、地盤改良に100万〜200万円の追加が必要になることも。
  3. ゴミと残置物の量
     家具やガラクタが多ければ、それを捨てるのにも費用がかかります。
  4. アスベストの有無
     築30年以上の家に多く含まれる「アスベスト」は、処理が難しく、高額です。
  5. 地域による物価差
     都市部と地方では、人件費や材料費が大きく違います。同じ家でも100万以上差が出ることも。
  6. こだわりの仕様(注文内容)
     床材、壁紙、キッチン、風呂…選ぶグレードによって、価格は青天井になります。
  7. 仮住まいの期間
     工事期間が長引けば、その分仮住まいの家賃や引っ越し費用も増えます。

家を壊すだけで数十万!?解体費のリアル

「古い家なんてすぐ壊れるでしょ?大してかからないんじゃない?」と軽く見ていた私たち。
ところが実際は、木造でも解体に80万円以上、重機の運搬や廃材処分でさらに20〜30万円ほど。

特に予想外だったのが、「ブロック塀の撤去」。これだけで12万円かかりました。
庭にある植木、倉庫、物置…これらも追加料金になるので、「どこまで壊すか」をあらかじめ相談しておくことが大切です。

見えない“追加費用”にご用心

家の建て替えには、「本体価格」に入っていないものがたくさんあります。

  • 仮住まい費用(家賃+光熱費で月10万前後)
  • 引っ越し2回分(仮住まい→新居)で20〜30万円
  • 家具の買い替え・カーテン・照明などで50万円前後
  • 登記・測量・建築確認などの法的手続き費用:30万円以上

これらを加えると、建築費とは別に最低でも300〜500万円は見込んでおいた方がいいでしょう。

コストを抑えるために、やったこと

家族で相談して、少しでも安くするためにやったことが3つあります。

  1. 不要品をすべて自分で処分
     解体業者にまかせると、ゴミ処分費だけで10万円を超えることも。市の粗大ゴミサービスを活用しました。
  2. 庭木と物置を自分たちで撤去
     1日かけてチェーンソーとスコップで作業。業者に頼めば20万円以上かかるところを、実質ゼロ円に。
  3. 見積もりは4社に依頼
     最初の会社は「解体費100万+建築費2,200万」。でも、最終的に選んだ会社は「解体費80万+建築費1,980万」。
     同じ内容で220万円の差が出ました。

見積もりを見るとき、ここに気をつけて!

見積もりで気をつけたいポイントは、次の4つです。

  • 「一式」だけの表記に注意!
     具体的に何にいくらかかるのかが書かれていないと、後から請求が増えるリスクがあります。
  • 地盤改良やアスベスト処理は含まれているか?
     これらは後から「別途請求」されることが多い項目です。
  • 契約前に、必ず内容を質問する
     分からないことをそのままにしないで、「これは何の費用ですか?」と確認しましょう。
  • 3〜4社と比較することが前提
     1社だけでは“高いか安いか”すら分かりません。比べて初めて、自分の希望に合った選択ができます。

まとめ

  • 家の建て替え費用は、合計2,500万円〜3,600万円が目安
  • 解体、仮住まい、引越し、手続き費用なども忘れずに!
  • コストを左右するのは、構造・地盤・残置物・アスベスト・地域性など
  • 不用品の処分や庭の整備は、自分でやれば数十万円節約できる

見積もりは複数社に依頼して比較・確認が必須