“太陽がある=得する”は間違いだった。光を味方につける家、裏切られる家──5年で35万円損した家のリアル #column

この記事を読めばわかること

  • 太陽光発電が“損”になる家の見抜き方
  • 「設置すれば得」は本当か?現実の数字
  • 屋根の形・向き・環境が収益を決める理由
  • 後悔しないためのチェックリストと改善策

はじめに

あなたが今住んでいるその家は、「太陽の恩恵を受けられる家」でしょうか?
実は、太陽光パネルをつけたことで得をする家もあれば、逆に“損をする家”もあります。

「太陽が当たるなら大丈夫でしょ」と思って始めた人が、5年後に赤字計算に頭を抱えるのは珍しくありません。

この記事では、太陽光発電が向かない家の特徴を、専門的な用語を抜きにして誰にでもわかるように解説します。読み終わったとき、あなたは「やる・やらない」の正しい判断ができるようになっています。

「どこに向いているか」で、未来が180度変わる

屋根の“性格”が収支を決める

パネルは、空にいる太陽と仲良くできる場所にしか本領を発揮しません。
つまり、「南向きであること」「ある程度傾斜があること」「日当たりが確保されていること」が最低条件。

たとえば、東を向いた屋根では朝は発電できますが、午後はほとんどお休みモードに。
北向きの屋根だと、光を“正面から”受け止められないので、年間発電量が大きく減ってしまいます。

屋根がどこを向いているのか。それだけで「得する家」か「損する家」かが決まると言っても過言ではありません。

真上の太陽より、横からの影に注意せよ

「見えない敵」が発電を奪っていく

パネルがどんなに高性能でも、“光を浴びられなければ”意味がありません。

ある家では、すぐ隣の3階建てマンションの影が午後2時から屋根全体にかかることがわかりました。
設置前の説明では触れられなかった「影の時間」が、毎日の発電量をじわじわと削っていったのです。

木、壁、電柱、さらには自分の家のアンテナですら、パネルにとっては“光を邪魔する障害物”になります。

あなたの屋根が、日中ずっと明るい状態を保てるかどうか。これが、太陽光設置を考えるうえで最初に見なければならないチェックポイントです。

a red barn with a black roof

屋根の“体力”が足りない家にパネルは危険

「重さ」は、想像以上に屋根にのしかかる

あるお宅では、築25年の木造住宅の屋根にパネルを設置したあと、雨漏りが起きました。
調査の結果、パネルの重みで屋根材に歪みが生じていたのです。

太陽光パネルは一見スリムですが、数百キロの重量が屋根全体にかかります。
耐震性や構造に不安のある古い家屋では、まず「補強工事」が必要です。これに数十万円の追加費用が発生します。

設置してから“あ、屋根がもたないかも”と気づいても、時すでに遅し。
屋根の体力チェックは、発電の前に行う「健康診断」とも言える重要なプロセスです。

「曇りや雨」は見逃せない損失の原因

天気に左右される“気まぐれビジネス”

年間を通して雨や曇りが多い地域では、太陽光発電はなかなか期待通りに働いてくれません。

特に冬に曇りや雪が続くエリアでは、発電量が激減。
「今日はほとんど発電してない…」という日が、1年に何十日も続くような地域では、投資としての回収スピードが遅くなります。

気象庁やNEDOが出している「日射量データベース」を活用すれば、あなたの地域の年間日照量が分かります。

カタログの数字は「理想環境下」の話。本当に自分の地域に当てはまるのか、必ず確認しましょう。

暑すぎる地域では、パネルが“熱中症”になる

「太陽が強い=発電が増える」とは限らない

沖縄や鹿児島などの南の地域は、確かに日射量が多いです。
でも、ここに落とし穴があります。

パネルは「熱には弱い」のです。気温35度を超えると、効率が10%以上落ちることも。
表面温度が60度以上になると、発電量はむしろ下がります。

対策としては、屋根とパネルの間に隙間をあけて空気を流す設置法や、高温でも効率を保てるタイプを選ぶことが大切です。

海・雪・風――自然は発電の味方にも敵にもなる

潮風がサビを生み、雪が光を閉ざす

海の近くにある家では、塩分を含んだ潮風によってパネルの金属部が腐食してしまうことがあります。
特に配線や端子が弱くなり、発電に影響を与えるケースも。

また、雪国では屋根に雪が積もると、パネルが働かなくなります。
除雪をするか、傾斜を工夫して雪が滑り落ちるように設計するか、対策が必要です。

自然環境を軽視して設置すれば、数年で“沈黙する太陽光”になってしまいます。

それでもやりたいなら…まずやるべき3つの判断

  1. 屋根の向きと影を自分の目で確認する
     → 太陽が動く時間帯にチェック。
  2. 日照量と環境データを数値で見る
     → NEDOのマップや業者のシミュレーションを活用。
  3. 工事・撤去・メンテナンスまで含めた総費用を見る
     → 設置して終わりではなく、20年間の「全体コスト」で比較を。

まとめ:発電するか、失敗するか。それを決めるのは“家の条件”だけ

「太陽光=得する」という時代は終わりました。
今は、「条件が揃った家だけが得をする」時代です。

屋根の向き、影の量、地域の天候、家の年数――。
これらすべてが、設置後に後悔するか感謝するかを分けるカギになります。あなたの家が、太陽の恵みを受け取れる家かどうか。
この記事が、その第一歩になればうれしいです。