電源の落とし穴:新築なのに不便だらけ?設計で見逃された“暮らしの盲点”#column
▼この記事で得られること
- 「電源設計」にまつわる実際のトラブル事例
- 暮らしと電源の“見えない関係”に気づくヒント
- 便利な家にするための配線計画のポイント
- モデルハウス見学で注目すべき“具体的な視点”
【序章】新築のワナは“壁の中”にあった
念願のマイホーム。どんな家具を置こうか、どんな壁紙にしようか、ワクワクしながら設計を進めるなか、思いがけず見逃してしまうもの──それがコンセントの位置です。
家づくりに慣れていないと、電源のことは「なんとなく多めに付けておけば安心」と思いがち。でも実際は、「どこにあるか」が圧倒的に重要だったのです。
今回は、電源計画をおろそかにした結果、毎日の生活がプチストレスの連続になってしまったある家庭のケースをもとに、「後悔しない家づくりのヒント」をお伝えします。
【CASE】コードだらけの新居にため息
神奈川県内に新築戸建てを構えた田村さん一家(5人家族)。設計当初は「広くて明るいリビング」を最優先にプランを組み、家電や配線については“後からでも何とかなるだろう”と考えていました。
ところが、実際に住み始めて3ヶ月も経たないうちに、部屋のあちこちで延長コードがうねるように伸びる異様な光景に…。
- 掃除ロボットが定位置で充電できない
- リビングでスマホを充電するたびにコードの奪い合い
- テレビまわりの電源が足りず、常にタップがパンパン
- ベッド周りの電源が足りず、寝室が“配線地獄”に
「見た目は理想だったのに、暮らしてみると電源が足りなくて不便なんです」と、奥さまは苦笑い。

【視点の転換】“家電が主役”の間取りへ
10年前と比べ、今の家庭にある電化製品は格段に増えています。しかも、設置条件もシビアになってきています。
- 自動掃除機:専用の充電ステーションが必要
- スマートスピーカー:音の拡がりを考慮した配置が必要
- コードレス掃除機:収納スペースと電源のセットが必要
- 空気清浄機・加湿器:季節によって設置場所が変わる
つまり、**家電の“置き場所”=コンセントの“必要な場所”**という図式が成り立つのです。ところが、設計段階でそれを具体的に考える人はまだ少数派。
【ありがちな後悔ポイント】ここにも欲しかった電源たち
実際に田村さんご一家が「住んでみて初めて気づいた」電源不足エリアを聞いてみると、次のような場所が挙がりました。
- ソファ周り:充電ケーブルや読書ライト用に不便
- 食卓付近:ホットプレートや加湿器が使いにくい
- 脱衣所:除湿器やドライヤー用に電源が集中
- 子ども部屋のベッド付近:スマホ・スタンドライトが同時使用不可
- 階段下収納:掃除機の充電スペースに電源がない!
さらに、照明のスイッチ配置についても、「廊下から消せない」「寝る前に玄関の電気が消せない」といった、地味なストレスが生活にじわじわ影響を与えていました。
【対策】見落とさないための“暮らしのシミュレーション術”
「そんな細かいところ、設計段階でわかるわけない」と思っていませんか?
実は、**暮らしの“仮体験”**をすることで、多くのミスは防げます。
その鍵を握るのが、モデルハウス見学です。
ただ見るだけではなく、「スマホ片手に家の中を歩いてみる」「ここでご飯を食べると仮定して、どんな家電を使うか想像する」といった動作シミュレーションをすると、「あ、ここに電源がないと困るな」と自然と気づけるのです。
モデルハウスには意外とヒントが満載です:
- キッチンの背面収納に隠された電源ポート
- パントリー内部の予備電源
- ベランダの防水仕様コンセント
- 柱の側面に設置されたUSBポート付きコンセント
- 階段の踊り場にさりげなく配置されたスイッチ
こういった細やかな配慮こそ、暮らしをスムーズにする「縁の下の力持ち」なのです。
【実践ガイド】配線ミスを防ぐ5つのルール
1|「朝から寝るまで」を書き出す
→ どこで何を使うかを具体的に整理
2|今の家電+今後増えるかもしれない家電をリストアップ
→ 掃除ロボやEV充電器など、未来を見据えて
3|充電スポットを考える
→ スマホ、ノートPC、モバイルバッテリーなど
4|モデルハウスで“実生活”を再現してみる
→ 「ここで朝食食べたら?」「帰宅後どう動く?」などをシミュレーション
5|設計士と“用途別コンセント一覧”を共有する
→ 家電ごとにベストな設置場所を相談し、無駄のない配置を検討
【まとめ】家の価値は、目に見えない「便利さ」で決まる
せっかくの注文住宅。「コンセントが足りない」なんて理由で、暮らしの満足度を下げるのはもったいないですよね。
設計図には描かれない“使いやすさ”を、しっかりと体感してから建てる。
それが、ストレスフリーな暮らしを叶える一番の近道です。
「こんな場所に電源なんていらないでしょ」と思う場所ほど、実は暮らしの動きの中では“必要な場所”かもしれません。未来の自分が困らないように、今の自分が“使う目線”で家を設計する──
その第一歩を、モデルハウスの歩き方から始めてみませんか?