暮らしが変わる!生活スタイル別の「幸せ住まい」実践ガイド2025#column
この記事を読めば分かること
この記事では、生活スタイルやライフステージに合わせた「幸せな住まい方」の実践例を紹介します。「どんな家に住むか」ではなく「どう暮らすか」に焦点を当て、全国各地の実例から学ぶ心地よい住環境の作り方や、日常の小さな工夫を解説。限られた予算や空間でも、あなたらしい暮らしを実現するためのヒントが満載です。家づくりはもちろん、今の住まいを見直したい方にもおすすめの内容です。
はじめに
昨日、友人の新居を訪ねました。玄関を開けると、子どもたちの元気な声と料理の良い香り。リビングでは小学生の息子さんが宿題に取り組み、娘さんはソファでタブレットを操作しています。友人は在宅勤務のため、キッチン横の小さなコーナーでパソコンに向かいながらも、時々子どもたちに声をかけていました。
「うちの家、特別なことはしていないんだけど、なんだか居心地がいいでしょ?」と友人は照れくさそうに言いました。
確かに、特別に広いわけでも、高級な設備が整っているわけでもない家なのに、不思議と心地よさがありました。その秘密は何なのだろう?
実は、「住む家」と「暮らし方」は全く別物なのです。どんなに素敵な家に住んでも、生活スタイルとマッチしていなければ心地よさは生まれません。逆に、限られた条件の中でも、自分たちの生活に合った工夫をすれば、毎日の暮らしは格段に快適になります。
私は「住まいのカウンセラー」として、10年間で500組以上の家族の住まいづくりをサポートしてきました。そこでわかったのは、幸せな住まいづくりの鍵は「間取り」や「設備」ではなく、「生活スタイル」にあるということです。
この記事では、さまざまなライフスタイルに合わせた「幸せな住まい方」の実践例を、全国各地の実例とともに紹介します。新築や引っ越しを考えている方はもちろん、今の住まいをより心地よくしたいと思っている方にも参考になるはずです。
ライフステージで変わる!あなたに合った住まい方診断
あなたはどのタイプ?5つの生活スタイルで考える住まい選び
「私たちにはどんな住まいが合っているんだろう」と頭を悩ませるのは、みんな同じです。でも、正解は一つではありません。あなたの生活スタイルによって、最適な住まい方は大きく変わります。
まずは自分たちがどのタイプに当てはまるか、チェックしてみましょう。
タイプ1:フルタイム共働き家族
朝は全員がバタバタと準備をし、夜は遅めの帰宅。週末にまとめて家事をすることが多い家族です。
タイプ2:在宅ワーク中心家族
家で過ごす時間が長く、仕事と生活の境界があいまい。集中できる空間と気分転換の工夫が必要です。
タイプ3:子育て集中家族
小さな子どもがいて、見守りながら家事や仕事をこなす必要がある家族。安全性と動線の工夫がカギです。
タイプ4:趣味を楽しむ家族
料理、DIY、読書、ゲームなど、家族それぞれの趣味の時間を大切にする家族。共有と個別の空間バランスが重要です。
タイプ5:将来を見据える家族
子どもの独立や老後を見据え、無理なく長く住み続けられる環境を考える家族。変化に対応できる柔軟性がポイントです。
あなたはどのタイプに近いですか?もちろん、複数のタイプの要素を持っていることも多いでしょう。それぞれのタイプに合った住まい方の工夫を、これから詳しく見ていきましょう。
住む前に考えたい「一日の生活行動図」作りのススメ
「理想の間取り」を考える前に、ぜひ試してほしいのが「生活行動図」づくりです。これは、家族一人ひとりの平日・休日の行動パターンを時間軸で書き出す方法です。
東京都在住の田中さん家族(両親と小学生2人)が作った生活行動図を見てみましょう。
平日の例:
- 6:30 両親起床、朝食準備
- 7:00 子どもたち起床
- 7:30 家族で朝食
- 8:00 子どもたち登校、父親出勤
- 8:30 母親在宅勤務開始
- 16:00 子どもたち帰宅、おやつ
- 17:00 母親仕事終了、夕食準備
- 19:00 父親帰宅、家族で夕食
- 20:00 片付け、子どもたち入浴
- 21:00 子どもたち就寝準備
- 22:00 子どもたち就寝、両親くつろぎ時間
- 24:00 両親就寝
この行動パターンから、田中さん家族には「朝の準備がスムーズにできる動線」「在宅勤務と子どもの帰宅が重なる時間帯の工夫」「夜の団らん空間の確保」が重要だとわかりました。
「生活行動図を作ってみたら、家族がリビングに集まる時間帯が思ったより短かったことに気づいたんです。その代わり、各自が自分の時間を過ごす個室の居心地が大事だと分かりました」と田中さんは言います。
あなたも家族の一日をイメージしながら、生活行動図を作ってみませんか?思わぬ発見があるかもしれませんよ。
「共働き家族」の時短生活を支える住まいの工夫
平日5分でも時短!忙しい朝を支える玄関・洗面所改革
「以前は朝の準備に45分かかっていましたが、今は30分で完了します」と話すのは、横浜市に住む医師と公務員の共働き夫婦、佐藤さん家族です。
彼らが行った玄関と洗面所の改革がすごいんです。
玄関の工夫:
- 家族全員分の傘、コート、バッグなどを個別に収納できるオープンシェルフ
- 玄関先で靴下が履けるベンチ
- 翌日の持ち物チェックリストをマグネットボードに貼付
洗面所の工夫:
- 家族4人が同時に使える広めの洗面台
- 使用頻度が高いアイテムは手前、たまに使うものは奥という「ゾーニング収納」
- 子ども用と大人用の高さ違いの鏡設置
「特別なことはしていません。単に『朝の行動をイメージして』モノの置き場所を決めただけです」と佐藤さん。
玄関や洗面所は広くなくても、使い方を工夫するだけで朝の混雑は驚くほどスムーズになります。あなたの家でも、ちょっとした収納の見直しから始めてみませんか?
週末にまとめて家事!買い出し・調理・洗濯の効率化術
「土日に1週間分の家事をまとめてやる『週末家事術』で、平日は家族との時間を大切にしています」と語るのは、名古屋市の高橋さん家族。共働きの高橋さん夫婦は、週末の時間を使って効率的に家事をこなすコツを編み出しました。
買い出し・食材管理の工夫:
- 週1回の大型スーパーでのまとめ買い
- 冷蔵庫内を「月曜〜金曜」の5つのゾーンに分け、その日に使う食材を入れるシステム
- 買い物アプリで家族全員が足りないものをリスト化
調理の工夫:
- 週末に作り置きおかずを5〜7品準備
- 電子レンジ、オーブンなど加熱調理器具を複数活用
- 子どもたちも参加する「家族クッキング」で楽しみながら準備
「最初は大変でしたが、今では週末の調理が楽しい家族の時間になっています。子どもたちが手伝うことで、料理の基本も覚えてくれました」と高橋さん。
あなたの家でも、家事を「やらなきゃいけない負担」から「家族で協力する楽しい時間」に変えることができるかもしれません。まずは週末の2時間だけ、家族全員で取り組んでみてはいかがでしょうか。
職場でもない、完全な自宅でもない「サードプレイス」の活用
「自宅だとついつい家事や育児に気を取られてしまうので、週に2日は近所のコワーキングスペースで仕事をしています」と語るのは、フリーランスデザイナーの山田さん。
在宅ワークが増えた今、「家」と「職場」の間にある「サードプレイス(第三の場所)」の重要性が高まっています。山田さんの場合は自宅から徒歩10分のコワーキングスペース、会社員の鈴木さんはカフェ、大学生の木村さんは図書館を「サードプレイス」として活用しています。
自宅の一部を「サードプレイス化」する工夫もあります。
自宅サードプレイスの例:
- ベランダにミニテーブルと椅子を置いたアウトドアオフィス
- 押入れを改造したコンパクト書斎
- リビングの一角に設けた「ワークブース」
「家の中でも『仕事モード』と『生活モード』を切り替えられる空間があると、メリハリがつきます」と山田さん。
あなたも自分だけの「サードプレイス」を見つけることで、生活にメリハリが生まれるかもしれませんね。
「子育て家族」の安全・安心を守る住環境づくり
「見守り」と「自立」のバランスが取れた子ども空間設計
「子どもの様子が自然と目に入るけれど、干渉しすぎない。そのバランスが大事なんです」と話すのは、小学生と幼児の2人の子どもを育てる福岡市の中村さん家族。
リビングからキッチン、そして子どもの遊び場が一続きになっている間取りにこだわったという中村さん。小さな子どもがいる家庭では、料理中でも子どもの様子を見守れる設計が大切です。
見守りと自立を両立させる工夫:
- リビングの一角に「キッズコーナー」を設置
- 低い棚で仕切り、視線は通るが物理的な区切りがある空間に
- 子どもの成長に合わせて変化させやすい可動式の家具を採用
「最初はおもちゃコーナーだったスペースが、今は学習スペースになっています。子どもの成長に合わせて、家具の配置や使い方を変えています」と中村さん。
子どもの成長は早いもの。固定的な「子ども部屋」より、成長に合わせて変化できる柔軟な空間づくりが、長く使える子育て空間のコツかもしれません。
掃除も片付けも楽になる!子どもが自分でできる収納の秘訣
「子どものおもちゃがリビングに散らかって、毎日片付けに苦労していました」という悩みを解決した大阪市の木下さん家族。その秘訣は「子どもの目線に立った収納設計」でした。
子どもが自分で片付けられる収納の工夫:
- おもちゃは種類ごとに写真付きのボックスで管理
- 子どもの手が届く高さに収納を設置
- 「出しっぱなしOKゾーン」と「使ったら片付けるゾーン」を明確に区分
「難しいルールを作るより、子どもが自然と片付けたくなる環境づくりが大切でした」と木下さん。子どもたちも自分でおもちゃを出し入れできることで達成感を得られ、自分から片付けるようになったそうです。
また、「リビングの一角に、子どもの作品を飾るギャラリースペースを作ったことで、子どもたちが自分の居場所を感じられるようになりました」と木下さん。
子どもの目線に立った収納と空間づくりは、子どもの自立心を育てながら、親の家事負担も減らす一石二鳥の効果があるようです。
家族の思い出を育てる「体験型リビング」のつくり方
「家族の時間は、テレビを見るだけじゃつまらない」と考え、リビングを「体験型空間」に変えたのが東京都の藤田さん家族です。
藤田さん家族のリビングは、シンプルな家具に大きなラグ、そして壁一面の「家族ボード」が特徴。このボードには、家族旅行の写真、子どもたちの作品、季節の飾りなどがピンで留められ、常に変化していきます。
体験型リビングの工夫:
- 家具を最小限に抑え、床で遊べるスペースを確保
- 床暖房で冬でも快適に床で過ごせる環境に
- 壁の一部を黒板塗料で仕上げ、子どもの落書きスペースに
- 週末には家族でボードゲームやパズルができるテーブルセット
「最初は『物が少なくて寂しい』と感じましたが、家族で過ごす体験そのものが財産になると気づきました」と藤田さん。
リビングを「モノを置く場所」から「体験を生み出す場所」に変えることで、家族の絆が深まるかもしれません。あなたの家のリビングは、どんな体験ができる場所ですか?
「自分時間」を大切にする住まい方のヒント
「ひとりの時間」と「みんなの時間」を上手に切り替える空間活用術
「家族と一緒にいることも、自分だけの時間を持つことも、どちらも大切です」と語るのは、家族4人で暮らす神戸市の伊藤さん。
伊藤さん家族の家の特徴は、「共有空間」と「個人空間」のメリハリがはっきりしていること。
空間の使い分け工夫:
- リビングは「完全共有空間」として、くつろぎと会話を重視
- 個室は「完全個人空間」として、趣味や休息に集中できる環境に
- 「半共有空間」としての読書コーナーを階段踊り場に設置
「最初は『個室にこもりすぎると家族のコミュニケーションが減るのでは?』と心配でしたが、逆に『一人の時間』が確保されることで、家族との時間がより大切になりました」と伊藤さん。
また、家族の共通ルールとして「食事の時間はスマホなし」「リビングではヘッドホンを使わない」など、空間ごとのルールを決めているそうです。
あなたの家では、「ひとりの時間」と「みんなの時間」をどう切り替えていますか?空間の使い方を家族で話し合ってみるのも良いかもしれません。

小さくても自分だけの「マイスペース」がある幸せ
「うちは狭いアパートですが、家族みんなに『マイスペース』があります」と笑顔で話すのは、2LDKのアパートに4人で暮らす熊本市の吉田さん家族。
限られた空間の中でも、家族一人ひとりの居場所を確保する工夫をしています。
狭い住まいでのマイスペース作りの例:
- リビングの窓際に折りたたみデスク付きの「ママコーナー」
- 子ども部屋の二段ベッドの下を「秘密基地」風に仕切ったスペース
- キッチン横の小さなカウンターを「パパの作業スペース」に
- クローゼットの一部を改造した「趣味の道具収納コーナー」
「広さよりも『ここは私の場所』という気持ちが大切。家族に認められた自分だけの場所があると、心にゆとりが生まれます」と吉田さん。
マイスペースは広さではなく、「自分らしさを表現できる場所」であることが大切なのかもしれません。あなたは自分だけの場所を持っていますか?
趣味を楽しむ工夫で日常にハッピーを増やす
「日々の生活に『楽しみ』を取り入れることが、住まいの満足度を高めると思います」と語るのは、趣味を大切にする札幌市の小林さん夫婦。
小林さんは料理が趣味の夫と、読書が好きな妻の二人暮らし。共働きで忙しい日々ですが、自宅での趣味の時間を大切にしています。
趣味を楽しむ住まいの工夫:
- キッチンカウンターを広めに設計し、休日の料理教室のようなスペースに
- ベランダに小さな菜園コーナーを作り、自家製ハーブを栽培
- 窓際に「読書チェア」を配置し、自然光で読書できるコーナーを確保
- 壁面に「今読んでいる本」を飾るディスプレイ棚を設置
「住まいは『寝る場所』や『食事をする場所』だけでなく、『趣味を楽しむ場所』でもあると気づいたとき、家での時間がもっと豊かになりました」と小林さん。
自宅での時間をより充実させるために、あなたの趣味をもっと楽しめる工夫を考えてみませんか?
「将来変化」を見据えたスマートな住まい選び
子どもの成長後を見据えた「可変性のある住まい」のポイント
「子どもたちが巣立った後も、この家で快適に暮らせるようにしたい」という願いを叶えた鹿児島市の村上さん家族。10年前に建てた家は、子どもたちの成長とともに少しずつ変化しています。
可変性を持たせた住まいの工夫:
- 間仕切り壁を最小限にした「フレキシブルな間取り」
- 将来は個室を統合できるよう、構造壁を外周部に集中
- 設備配管を集中させ、水回りの移動も可能な設計
- 玄関に車椅子でも入れるスロープを初めから設置
「子どもが小さかった頃は3部屋に区切っていた2階を、大学進学で一人が家を離れた今は2部屋に変更しました。将来は趣味の部屋やゲストルームにする予定です」と村上さん。
家族構成やライフスタイルの変化は避けられません。将来を見据えた「可変性」を持つ住まいは、長く快適に住み続けるための賢い選択かもしれません。
「物を持たない」選択で得られる住まいの自由度
「所有する物を減らしたことで、心も家も驚くほど整理されました」と話すのは、沖縄県でミニマルライフを実践している田中さん一家。
3年前、「物であふれた3LDKの家」から「シンプルな2LDKの家」に引っ越した時、家族で徹底的な持ち物の見直しを行いました。
ミニマルライフの実践例:
- クローゼットの衣類は家族一人あたり30着程度に厳選
- 子どものおもちゃは「今シーズン使うもの」だけを出しておく循環システム
- キッチン用品は頻繁に使うものだけを残し、半分以下に削減
- 本や雑誌は電子化し、特にお気に入りのもの以外は処分
「物が減ると、掃除や片付けにかかる時間が劇的に減ります。その分、家族との時間や趣味の時間が増えました」と田中さん。
また、「必要なものだけを厳選する習慣がつくと、新しいものを買う前に『本当に必要か?』と考えるようになり、無駄な買い物も減りました」とのこと。
物を減らすことは、住まいの自由度を高めるだけでなく、生活の質そのものを向上させる可能性があります。あなたも一度、持ち物を見直してみませんか?
エコで経済的!持続可能な住まい方を実現する最新アイデア
「月々の光熱費が以前の半分以下になり、環境にも家計にも優しい暮らしができています」と話すのは、太陽光発電と蓄電池システムを取り入れた広島市の加藤さん家族。
加藤さん家族が実践している持続可能な住まい方には、エネルギー面だけでなく日常生活のさまざまな工夫があります。
持続可能な暮らしの工夫:
- 太陽光発電と蓄電池による電力の自給自足
- 雨水タンクを設置し、庭の水やりや洗車に活用
- 生ごみはコンポスト化して家庭菜園に活用
- 窓の配置と断熱性能を高め、エアコンの使用を最小限に
「最初は『エコな暮らし』は大変そうというイメージでしたが、一度システムを整えれば、むしろ楽になることがたくさんありました」と加藤さん。
特に印象的だったのは、「災害時にも安心」という点。実際に地域で停電があった際も、太陽光発電と蓄電池のおかげで普段通りの生活を続けられたそうです。
環境に配慮した住まい方は、単なる理想論ではなく、災害に強く経済的にもメリットのある「賢い選択」になりつつあります。あなたの住まいでも取り入れられる工夫はありませんか?
まとめ:あなたらしい「幸せ住まい」を見つけるために
この記事を通じて、さまざまな生活スタイルに合わせた「幸せな住まい方」の実例を紹介してきました。
大切なのは、「どんな家に住むか」よりも「どう暮らすか」という視点です。同じ間取りの家でも、住む人のライフスタイルによって全く違う住まいになります。
理想の住まいづくりに「正解」はありません。あなたと家族のライフスタイルに合った、あなたらしい住まい方を見つけることが最も大切です。
この記事で紹介した工夫やアイデアの中から、あなたの生活に取り入れられそうなものはありましたか?
新しい家づくりを考えている方はもちろん、今の住まいをより快適にしたいと考えている方にとっても、「どう暮らしたいか」を見つめ直すことが、幸せな住まいへの第一歩になるはずです。
あなただけの「幸せ住まい」を見つける旅を、心から応援しています。