“安く見える坪単価”には理由がある。予算オーバーを防ぎたいなら、数字のウラを読める人になろう #column
この記事を読めば分かること
- 「坪単価」の本当の意味と見せかけの安さの正体
- 家の構造で坪単価が大きく変わる理由
- 建築費に含まれない“見落としがちな出費”とは?
- 注文住宅の費用内訳を3つに分けて解説
- 予算オーバーを防ぐための賢い見積もりの取り方
はじめに
「この家、坪単価は60万円なんですよ」
住宅展示場で担当者にこう言われて、あなたはふと足を止めます。「あれ? 想像より安いかも」と思ったかもしれません。
でも、その“安いかも”という感覚、あとで後悔するかもしれません。
坪単価という言葉はよく聞くけれど、その中身までちゃんと理解している人は意外と少ないんです。たとえるなら、レストランのメニューに「一皿1,000円」と書いてあっても、席料やサービス料が後から加算されて、結局は1,500円だった――そんな経験、ありませんか?
この記事では、家づくりの最初にぶつかる「坪単価」という数字の意味と注意点について、中学生でもわかるように解説していきます。後悔しない家づくりの第一歩を、ここから一緒に踏み出しましょう。
「坪単価=家の総額」ではない理由
まず知っておいてほしいのは、「坪単価」というのは、家づくりの費用をざっくり表すための“目安”だということです。
たとえば「坪単価60万円」の家を30坪で建てるとすれば、建物本体の価格は約1,800万円。でも、これはあくまで“骨組みと内装”までの話。実際に住める状態にするには、まだまだ費用がかかるのです。
なぜ構造によって金額がこんなに違うの?
同じ「家」でも、どういう構造にするかによって、かかるお金は大きく変わります。
- 木造:比較的安く、自然素材の温もりが魅力
- 鉄骨造:地震に強くて耐久性も高いが、その分高め
- RC(鉄筋コンクリート)造:マンションのような頑丈さと遮音性。ただしコストは高額
たとえば、森の中の別荘のような木の家と、都会的で重厚なコンクリートの家では、工法も素材もまったく違います。それが坪単価の差となって表れてくるのです。
面積の出し方で“安く見せる”テクニック
坪単価は、「家の価格 ÷ 面積」で出すわけですが、この“面積”の定義が会社によって違うことをご存じですか?
- 延床面積:実際に暮らす空間のみで計算
- 施工床面積:ベランダや玄関ポーチ、吹き抜けなども含めて計算
つまり、施工床面積で坪数を大きく取れば、同じ価格でも「単価」が安く見えるんです。
あなたが「この会社、坪単価安いな」と感じたとき、もしかしたらこのトリックが使われているかもしれません。
見積書の「本体価格」だけ見てはいけない
多くの会社が提示する「坪単価」に含まれるのは、家の本体工事費のみ。
実はそれだけでは家は建っても、暮らせません。
たとえば…
- 外構(フェンス、カーポート、玄関アプローチ)
- 電気・水道・ガスなどの配管工事
- カーテン・照明・エアコンなどの設備
- 火災保険や登記費用、住宅ローン事務手数料
これらは、あとから追加で数百万円になることも。
「坪単価だけ見て契約したら、後からオプション地獄に…」というケースは本当に多いんです。
家の費用は「3つの層」で考えると分かりやすい
注文住宅の予算は、大きく次の3つに分けて考えるとイメージしやすくなります。
- 本体工事費(およそ全体の75%)
家の構造、内装、屋根など家そのものの工事費です。 - 付帯工事費(15〜20%)
地盤改良、配管、外構、照明、エアコンなどの暮らしに必要な工事。 - 諸経費(5%前後)
ローン手数料、登記、保険、申請費など。いわば“家のための手続き費用”。
つまり、「坪単価60万円の家」を建てるつもりでも、実際には80万円〜90万円相当の出費になることも珍しくありません。
まずは「使ってもいいお金」を決めておこう
家づくりの初期でやるべきなのは、「これ以上は出せない」という予算の上限を決めることです。
- 頭金はいくら出せる?
- 月々のローン返済は無理なく続けられるか?
- 土地の価格を含めて、総額でいくらまでOKか?
このラインを先に引いておけば、打ち合わせの中で出てくる「ちょっといい設備」に流されにくくなります。

比較しないと、コスパは見えてこない
最後に大事なのは、「1社だけで判断しないこと」。
同じ条件で複数の会社から見積もりを取ってみると、「あれ?同じ家なのに金額が違う…」という驚きがあるはずです。
ポイントは以下の通り:
- 比較する際は、延床面積・仕様・設備を同じ条件で統一
- 地元の工務店、大手ハウスメーカー、両方から取る
- 見積り書に「何が含まれているか」を細かくチェック
こうすることで、「理想の家」と「現実の予算」がちょうどよく出会える場所が見えてくるはずです。
まとめ
- 坪単価は「目安の数字」であって、総額とは異なる
- 家の構造や施工面積によって単価は大きく変わる
- 本体工事費以外に、暮らすための費用が数百万円必要
- 注文住宅の費用は「本体」「付帯」「諸経費」の3段階で考える
- 最初に「使える金額」を決めてから家づくりを始めるべき
- 複数の会社に同条件で見積もりを取り、冷静に比較しよう