片づけ上手は、家づくり上手。空間を活かす収納設計の基本 #column
「もっと収納を確保しておけばよかった」と、住み始めてから気づくことは少なくありません。
間取りや外観に目が行きがちな注文住宅ですが、日々の暮らしやすさを左右するのは、実は「収納計画」です。
本記事では、収納の基本から実用的なアイデア、そして長く快適に暮らすための視点まで、整理してお伝えします。
この記事を読めばわかること
- 注文住宅における収納の重要性
- 収納スペースの適正な面積と配置の考え方
- 人気収納設備とその設計ポイント
- ライフスタイルに合わせた計画の立て方
1. なぜ収納が重要なのか?注文住宅における役割
注文住宅では、自由度の高い設計が可能です。そのメリットを最大限に活かすためには、「収納をどう設けるか」を初期段階から検討することが不可欠です。
■ 収納が不十分な場合のリスク
- 室内が雑然とし、生活感が目立つ
- 掃除・片づけの手間が増加
- 市販の収納家具を後から追加することで、動線やデザインのバランスが崩れる
■ 計画的な収納がもたらす利点
- 家全体の印象が整い、快適な住空間を実現
- 片づけやすさが日常のストレスを軽減
- 定位置管理がしやすく、家族全員が使いやすい環境に
2. 収納スペースの目安と適正バランス
収納面積の目安は、延床面積の約12~15%が一般的とされています。100㎡の住宅であれば12~15㎡(約7~9畳)を確保するのが理想的です。
ただし「広さ」よりも「使い勝手」が重要です
- 家族構成:乳幼児のいる家庭では将来的な荷物増加に備える
- 生活様式:アウトドア用品や趣味の道具が多い場合は専用収納を検討
- 今後の変化:将来的な在宅勤務や親の同居などを想定する
▶ 設計段階では、「必要な場所に、必要な容量で」収納を配置する視点が欠かせません。
3. 実用性重視の収納スペースと設計の工夫
具体的な収納スペースと設計時の注意点を、以下にまとめました。
● パントリー
- 食品のストックや使用頻度の低いキッチン家電の保管に
- 扉付きのタイプで生活感を抑える
- 回遊型のキッチン動線に組み込むと効率的
● シューズクローク・土間収納
- 靴以外にも傘、ベビーカー、アウトドアグッズなどの収納に対応
- 家族用と来客用で動線を分ける設計が有効
● ウォークインクローゼット(WIC)
- 衣類・季節用品を一括管理できる
- 照明や姿見を取り入れると、使いやすさと満足度が向上

● 小屋裏収納・階段下収納
- 使用頻度の低いものの保管場所として機能
- 空間を有効活用するため、設計段階での高さや取り出しやすさを考慮
● ファミリークローゼット
- 家族全員の衣類や日用品をまとめて管理
- 洗濯・収納の家事動線が効率化される
4. 後悔しないための収納設計ポイント
● 動線との連携を考える
- 玄関~リビング~洗面所に至る動線上に収納を配置
- 動作の流れに合わせて「脱ぐ→しまう」「使う→片づける」をシームレスに
● 収納内部の設計にも配慮を
- 棚の奥行きは浅めが基本。奥にしまうと“デッドスペース”化することが多い
- 高さも重要。踏み台が必要な位置には日常使いの物を置かない
● 将来の使い方を見据える
- 子ども部屋や納戸は将来的に用途変更しやすい設計に
- 可動棚や間仕切りで柔軟な運用が可能な収納が理想
まとめ
収納は“空間の設計”という視点から見ると、住まいの価値を大きく左右する要素です。
単にモノをしまう場所ではなく、暮らしそのものを整えるための機能と捉えるべきでしょう。注文住宅の自由度を活かすなら、ライフスタイル・家事動線・将来の変化まで見据えた収納設計が重要です。
見た目のデザインと同様に、機能的で快適な空間づくりの鍵は「収納」にある――その視点をもって、後悔のない家づくりを実現しましょう。