「この費用、ローンに入れていいんですか?」家具・家電の住宅ローン裏ルールをFPが本音解説#column
新築の引き渡しの日。
鍵を受け取り、ワクワクしながら玄関ドアを開けるあなた。
ピカピカのフローリングに差し込む柔らかな陽ざし。
でも、部屋の中はガランとしていて、「あ、家具がない…」と現実に引き戻される。
冷蔵庫、洗濯機、ベッド、ソファ。全部そろえるには100万円以上かかる。
「これ、住宅ローンに入れられませんか?」と聞いた瞬間、担当者の表情がピクリ。
「基本的には…難しいですね」と申し訳なさそうに言われる。
実はこれ、新築あるあるの光景なんです。
この記事を読めば分かること
✅ 住宅ローンに組み込めるもの・組み込めないもの
✅ 家具・家電をローンに入れようとして失敗したリアル事例
✅ 組み込み型の家具・家電って何?メリットとデメリット
✅ 住宅ローンに頼らず、賢く家具・家電を揃えるコツ
はじめに
「家を買う時って、家具や家電も一緒に住宅ローンに入れられるんじゃない?」
そう思っている人、意外と多いんです。
でも実際には、「それはちょっと難しいです」と言われるケースがほとんど。
なぜなら、住宅ローンは“家を建てる・買うためのお金”であって、家具や家電は対象外だからです。
とはいえ、新生活に必要な家具や家電を揃えるのも大きな出費。
この記事では、「家具・家電をローンに組み込める条件」や「やってはいけない落とし穴」、さらに「賢い買い方」まで、FP目線で本音解説します。
住宅ローンのルール「家具・家電は基本NG」
まず押さえておくべきなのは、**住宅ローンでOKなのは“住宅そのものに関係する費用だけ”**という大原則です。
これを具体的に分けると、こうなります。
【住宅ローンOK】
✅ 土地の購入費用
✅ 建物本体(基礎・柱・壁・屋根など)
✅ 住宅設備(キッチン・お風呂・トイレ・床暖房など)
✅ 外構(フェンス・カーポート・ウッドデッキなど)
【住宅ローンNG】
❌ 冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン(持ち運べるもの)
❌ ソファ・ベッド・ダイニングセット
❌ カーテン・照明器具(後付けタイプ)
「組み込み型家具・家電」なら住宅ローンに入る裏ワザ
ここで登場するのが**“組み込み型”家具・家電**という存在です。
これは「住宅と一体化しているもの」「建物と一緒に設置されるもの」という条件を満たすもの。
具体例
✅ システムキッチンのビルトイン食洗機
✅ 最初から天井に埋め込むエアコン
✅ 壁に造り付けの収納棚やテレビボード
これらは住宅そのものの一部とみなされるので、住宅ローンで一緒に借りることが可能です。
ただし、施工会社経由で手配する必要あり。
自分で家電量販店に行って買ったものは、どんなにピッタリサイズでもNGです。

「バレなきゃOK?」は大間違い!審査で確実にチェックされる
実際にあった失敗事例を紹介します。
【失敗事例】家具代を住宅ローンに“こっそり”混ぜて審査落ち
千葉県のTさん夫婦は、住宅ローンの見積もりに「造り付け収納」としてリビングボードの費用を50万円分入れました。
しかし、内容をよく見ると、普通のテレビ台やダイニングテーブルまで含んでいたことが銀行のチェックで発覚。
「この費用は住宅ローン対象外ですね」と指摘され、結果的に審査落ち。
住宅ローン審査は、見積書や契約書をかなり細かくチェックします。
ごまかしは通用しません。
組み込み型は高い?実際の見積もり比較
さらに、組み込み型にはこんなデメリットもあります。
購入方法 | 金額 | メリット | デメリット |
住宅ローン組み込み | 20万円(施工会社経由) | 一括払いしなくてOK | 量販店より割高、選べる種類が少ない |
量販店で購入 | 12万円 | 安く買える、最新モデルを選べる | 一括払いが必要 |
「ローンに入れれば楽」と思いがちですが、金利負担+割高価格で損することも多いんです。
それならどうする?賢く家具・家電を揃える3つの方法
① 新築までに“家具・家電貯金”をする
新居完成までの間に、毎月2万円貯金すれば1年で24万円。
これなら、冷蔵庫・洗濯機・照明くらいは買えます。
② 「新築祝い」を家電資金にあてる
親や親戚からのお祝いを、思い切って「冷蔵庫と洗濯機に使います!」と伝えるのもアリ。
③ 家具・家電専門ローンを使う
住宅ローンとは別に、短期間で返せるインテリアローンを活用。
金利はやや高めですが、3~5年でサクッと完済できます。
まとめ
✅ 家具・家電は基本的に住宅ローンに組み込めない
✅ 組み込み型ならOKだが割高&種類が選べないデメリットあり
✅ 家具・家電は「貯金・お祝い・専門ローン」の3本柱で準備するのが正解